らくらくらいふ

おだやかでおちついたきもち、それだけ

令和

 

 

 

 

気づけば悩み事で充満した部屋の中にいた

いつからこの部屋の中にいたのか分からない

 

 

あと1cm思考が進めば

最低な出来事を思い出す

このまま進んでしまったら

みぞおちが張り裂けてしまう

その感覚に気づいたから

部屋に入る前に立ち止まった

部屋に入りたいという強烈な欲求を感じながら

部屋の前で立ち止まった

このまま思考を進めたい

嫌な気持ちになりたい

そんな欲求が自分の中にあることを

不思議に思いながら

部屋の前で立ち止まった

 

 

常にどこかの部屋に入っている

職場のデスクで上司の横

肩身の狭い思いをしながら身体を固くしている

彼は遠慮の部屋に入っている

いつから入っているのか分からない

入っていることに気づいていない

遠慮の部屋にいつまでも居座るから

体は固く

呼吸は浅く

早くその部屋から抜け出せよ

自分の窮状に気づいていない人間だから

平気で無駄にできるんだ

 

 

スマートフォンに向かって

馬鹿な顔で馬鹿な自分が

自分の心のもやもやと

頭のもやもやを正確に捉えようとして

このもやもやを的確に表現し得る言葉を

探しながら

また嫌なことを思い出して

この人は思考の部屋に入ってるんだ

悲観的な思考の部屋

思考とは

頭全体を覆うカビのようなもの

心全体を覆うカビのようなもの

人間の可能性を覆う蓋のようなもの

こんなことする価値があるのか?

考え続けて

考え続けて

結局なんにもならなかった

馬鹿な人間は馬鹿なままで

クレームに怯えて

電話の音に怯えて

息を潜めて時間が過ぎるのを待つ

馬鹿な人間のままで

だからもういらねえよ

この部屋は僕を幸せにしない

さようなら

 

 

悩みの部屋を後にした

遠慮の部屋を後にした

思考の部屋を後にした

 

 

 

 

どこかの部屋に入りたい

強烈な欲求に気づいた

どこかの部屋に入りたい

どこかの部屋に入りたい欲求を

どの部屋にも入らないことで

どの部屋の扉も閉めた状態で

どの部屋にも入れないで

立ち尽くした

立ち尽くしながら

覆われた蓋が溶けていくのを感じた

疎外された

追い出された

立ち尽くした

これが安寧の部屋

いや、部屋ではない

部屋などという窮屈な単語は相応しくない

 

 

 

どの部屋にも入らないこと

思考の部屋に入らないこと

これが人間だ、と黙認してきた

疑うことなく居座り続けた

カビ臭いこの部屋を

抜け出せ

 

 

この世界で澱んでいるのはこの頭の中だけだ

思考の部屋から抜け出せ

「思考をなくしたら、とんでもない人間になってしまう」

取り越し苦労の部屋を出よう

部屋を出たらまたそこに部屋があって

その部屋の外にも出て

心の平穏、頭のクリアさが

全ての部屋を後にした合図

 

 

 

ここにすべてがある

そんなこと昔から分かってるのに

思考を後にするのがこんなに怖いのか

この部屋に名前をつけよう

この部屋から出よう

部屋から出たら何者にもなれない

何者にもなれない不安感

疎外感

苦しみの部屋から疎外された

ここが平安だ

 

 

宇宙は零

空間は零

宇宙も空間も全てを受け入れる

零は全てを受け入れる

私は零になりたい

零に落ち着きたい

零に抱かれたい

 

 

 

という部屋を後にした

その時の頭の覆い、蓋、のような塊

意識して、感じて、主体的に眺めて

溶けていった

こうしてこの部屋も後にした

 

 

 

何も無い空間

もはやこうでないと生きていけない

嫌だよわいは

毎日下らないこと思い悩んで生きるのは

零こそがふさわしい

令和は零の時代だ

 

 

 

 

空間

 

 

 

どこかの部屋に入りたくて

どこにも入れない

歯がゆい気持ちが

数秒間でみるみる変質していく

そうして、思考も心もクリアになる

 

 

 

こうやって生きていくんだよと

令和に教えてやりたいね